+−CLASS ROOM×÷
「いた……」


その声に振り向くと

この涙の原因の人。


「え……何泣いてんの?」


奏ちゃんは困ったような顔をした。


――誰のせいよ!

そう思ったけど口には出さなかった。



「……ッ!」


奏ちゃんは私の前に立ったかと思うと、自分の制服の袖で私の涙を拭いた。


こんなことも初めてでドキドキした。



腕が離れると、今度は反対の手が私の目の前に差し出された。


「……絆創膏?」


その手には1枚の絆創膏。


「足」

「足?……あ」


さっき転んだ時、痛いなぁと思ったけれど、いつもの事だからと気にしないのがいけなかった。

膝の擦り剥いたところから血が出ていた。



「ありがとぉ」


絆創膏を受け取って膝に貼った。


きっと奏ちゃんは気付いて保健室にもらいに行ってくれたんだ。


そう思うとまた涙が出そうになった。



「……で、どうかした?」


私が絆創膏を貼り終わったと同時に奏ちゃんが口を開いた。


『自分が奏ちゃんのお荷物になってるんじゃないかって不安』

……なんて言ったら余計嫌われるんじゃないかと思って、その場を誤魔化そうとした。



すると突然、奏ちゃんは無言で私の頭に手を置いた。


その瞬間思った。


きっと受け入れてもらえると。

……根拠は無いけど。



「最近不安だったの。私こんなだから奏ちゃんに嫌われちゃうんじゃないか?……って。奏ちゃんため息増えたし。さっき教室で奏ちゃんが行っちゃったとき……悲しかった」


私が一気に言い終わると、奏ちゃんはいつもより少し軽くため息をついた。


やっぱり言ったらダメだった……?



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