+−CLASS ROOM×÷
* *

映画館から出た私たち。


「……」

「……明日香?」


落ち込んでいるわけじゃない。

なんかショック。



案の定、寝てしまった私。

半分くらいまでは記憶がある。

気付いた時には映画はエンディングで、私は奏ちゃんの肩にもたれていた。



「あんなに楽しみだったのに何で寝ちゃうんだろー?」


つまらなかった訳じゃないんだ。

でも、なんかこう途中からウトウトと……。

私は一体どれだけ洋画との相性が悪いんだろう?



「奏ちゃんゴメンね?」

「?」


奏ちゃんを見上げれば、奏ちゃんは不思議そうな顔をした。


「重かったでしょ? ちゃんと集中できた?」


「別に重くなかったし、ちゃんと観れたから大丈夫」

「ならよかった」



安心したのも束の間。


私の頭をもう1つよぎった事が……


「……ああ! もしかして私の寝顔見た!?」

「え……、見てないけど」

「よかったぁ。絶対不細工だったもん」


なんか寝顔とか見られるのって苦手。

自分がどんな顔して寝てるかは知らないけど、なんとなく。



「そんなことな……」


言い掛け、軽く口元を押さえて視線を逸らす奏ちゃん。


「やっぱり見たんだー!」

「か、可愛かったけど?」

「へ??」


視線をそらしたまま小さく呟いた奏ちゃんが頭をかく。


私は、思いがけない一言に最初は驚いていただけだったけど、だんだん恥ずかしいような嬉しいような感覚に襲われた。



そんな空気に耐えかねたのか、奏ちゃんが口を開いた。


「今度は、明日香が1番観たがってたやつ観に行こうか?」

「え?」


そう。

実は今回観たのは2番目に観たかったやつ。



でもね、奏ちゃん。

1番観たいのは……


「青春恋愛モノだよ?」



「……うん」

「今、間があったよね?」




趣味が違ったっていいじゃない。


あなたの隣にいられれば

私は幸せ。


あなたもそう思ってくれていたら

もっと幸せ。


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