+−CLASS ROOM×÷
隣の席の男
隣の席の男は単に隣の席の男であって、隣の席の男以外の何者でもない。
* * * * * *
隣の席の男
高坂玲
小柴聡史
* * * * * *
「高坂さんっ!」
私が席に着くや否や勢いよく名前を呼んできたのは、隣の席の小柴だ。
「おはよう」
朝から小柴に関わってイライラするのは嫌だと思い、無表情で挨拶をし、その場を去ろうとした。
「ちょっとどこ行くのさ!」
もちろん小柴は私を引き止めた。
「別にー」
「話聞いてよ! 頼むよ! すごく大事な話なんだ!」
「誰にとって?」
「俺にとって! マジで大問題なんだ!」
「……」
あからさまに嫌そうな顔をしているであろう私への小柴の説得は、きっと終わらないだろうと思った私は、仕方なく話を聞くことにした。
「で?」
席に座り直し、顔だけを小柴の方に向けた。
「聞きたいことあるんだけど……」
小柴の声は、さっき私を引き止めていた時よりもずっと小さく、勢いもなくなっていた。
* * * * * *
隣の席の男
高坂玲
小柴聡史
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「高坂さんっ!」
私が席に着くや否や勢いよく名前を呼んできたのは、隣の席の小柴だ。
「おはよう」
朝から小柴に関わってイライラするのは嫌だと思い、無表情で挨拶をし、その場を去ろうとした。
「ちょっとどこ行くのさ!」
もちろん小柴は私を引き止めた。
「別にー」
「話聞いてよ! 頼むよ! すごく大事な話なんだ!」
「誰にとって?」
「俺にとって! マジで大問題なんだ!」
「……」
あからさまに嫌そうな顔をしているであろう私への小柴の説得は、きっと終わらないだろうと思った私は、仕方なく話を聞くことにした。
「で?」
席に座り直し、顔だけを小柴の方に向けた。
「聞きたいことあるんだけど……」
小柴の声は、さっき私を引き止めていた時よりもずっと小さく、勢いもなくなっていた。