+−CLASS ROOM×÷
◆渡 舞子×松本 航平◆
らくがき犯の正体
今更『好き』とか言ったら、アイツは何て言うと思う?
* * * * * *
らくがき犯の正体
渡舞子
松本航平
* * * * * *
「航平! 英訳見せて!!」
「嫌ー」
「ッなっ! 私、今日当たるんだから!」
「お前、この前の数学見せてくんなかったじゃん」
「小学生か!」
「何とでも言え」
一向に英訳を見せてくれる気配のないコイツ、松本航平。
昔からのサッカー馬鹿で
小学校からの腐れ縁。
……席まで隣だし。
「ケチ!」
「ケチで結構」
「……そんなだからモテないんだよ」
私がそう呟くと、航平はニヤッと笑った。
そして、机の左下を指差した。
「――!」
「俺を見てくれてる子は見てくれてるのさっ」
得意気にそう言う航平の指差した先には
『好きです』の文字。
「きっと俺のサッカー姿に……ってどこ行くんだよ!」
「隣のクラスで借りてくる!」
「おい!」
航平を無視して私は教室を出た。
あの場を早く立ち去りたくなったんだ。
だって……
あれ書いたの私だし!
* *
「航平と渡さんって付き合ってんの?」
「は?」
中3の時、航平とクラスの男子の会話を耳にしてしまった。
「付き合ってないから」
「そーなん? 仲いいじゃん」
「そうか?」
「実は好きとかないわけ?」
「ない。ありえないっしょ?」
そう言って航平は笑っていた。
私は航平が好きだった。
確証はなかったけど航平も同じ気持ちな気がしてた。
中学卒業までには伝えようと思っていたけど、言えなくなった瞬間だった。
航平との仲が壊れるのが恐かった。
でも、やっぱり伝えたいと思う気持ちがどこかにあって……
朝、航平が教室に来る前に書いたんだ。
私が書いたって気付いてくれたら……って、小さな期待を胸に。
* *
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らくがき犯の正体
渡舞子
松本航平
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「航平! 英訳見せて!!」
「嫌ー」
「ッなっ! 私、今日当たるんだから!」
「お前、この前の数学見せてくんなかったじゃん」
「小学生か!」
「何とでも言え」
一向に英訳を見せてくれる気配のないコイツ、松本航平。
昔からのサッカー馬鹿で
小学校からの腐れ縁。
……席まで隣だし。
「ケチ!」
「ケチで結構」
「……そんなだからモテないんだよ」
私がそう呟くと、航平はニヤッと笑った。
そして、机の左下を指差した。
「――!」
「俺を見てくれてる子は見てくれてるのさっ」
得意気にそう言う航平の指差した先には
『好きです』の文字。
「きっと俺のサッカー姿に……ってどこ行くんだよ!」
「隣のクラスで借りてくる!」
「おい!」
航平を無視して私は教室を出た。
あの場を早く立ち去りたくなったんだ。
だって……
あれ書いたの私だし!
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「航平と渡さんって付き合ってんの?」
「は?」
中3の時、航平とクラスの男子の会話を耳にしてしまった。
「付き合ってないから」
「そーなん? 仲いいじゃん」
「そうか?」
「実は好きとかないわけ?」
「ない。ありえないっしょ?」
そう言って航平は笑っていた。
私は航平が好きだった。
確証はなかったけど航平も同じ気持ちな気がしてた。
中学卒業までには伝えようと思っていたけど、言えなくなった瞬間だった。
航平との仲が壊れるのが恐かった。
でも、やっぱり伝えたいと思う気持ちがどこかにあって……
朝、航平が教室に来る前に書いたんだ。
私が書いたって気付いてくれたら……って、小さな期待を胸に。
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