+−CLASS ROOM×÷
「おい」


そんなことを考えながら、廊下の窓枠に頬杖をついていると、後ろから声をかけられた。


「ん?」


何事もなかったようにソイツに振り向いた。


「……あれ書いたのさ……やっぱ、お前なんだろ?」


……っ

鼓動が一瞬大きくなった。


「はぁ!? 違うって言ったじゃん」


また笑ってごまかす私に、航平は言った。



「じゃあ、何でそんな風に笑ってんだよ」

「え……?」


航平の目は真っすぐ私を見ている。


「お前いつもそんな顔で笑ってねーじゃん」


心臓がドクンと大きく波打った。



ちゃんと笑ってるつもりだったのに……

いつも通りに笑えてるつもりだったのに……


どうして航平には分かってしまったんだろう。



私を真っすぐ見つめる航平の目から目が離せなかった。


「……俺がどんだけお前のこと見……あー」


航平は窓の外へと目線を移し、頭を掻いた。


「てか……お前で合ってんだよな? 違ったらマジ恥ずいんだけど」


だんだん赤くなる航平を見ながら

航平のさっきの言葉を心の中で思い出し、


「うん」


と首を縦に振った。


* *


次の日の朝、教室に行くと机に伏せて眠る航平がいた。


昨日あれから、私たちの間には微妙な空気が流れ、結局話はあれっきりだった。


2人の気持ちは曖昧なまま。


どうしたものかと席に着くと――


「これ……」


机の右下に


『俺も』の2文字。



私の大好きな


彼の字だった。

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