+−CLASS ROOM×÷
帰りは航平と一緒に帰った。


「今日、美術室いたの森住さん?」

「え?」

「お前と一緒にいたからそうだろなーって」

「まぁそうだけど」


――見られてたんだ。

運動場から校内が見えるなんて深く考えたことがなかった。



「運動場から美術室ってよく見えるの?」

「窓が開いてれば何となくな」

「へー」


航平も私のこと気にしてくれてるのかな?

そう考えるとすごく嬉しい。



「何にやけてんだよ」

「にやけてないし」

「あ、俺のサッカーやってる姿思い出してたんだろー」

「誰が!!」

「部活やってると美術室からの熱い視線が痛くて痛くて」


私を無視して話し続ける航平。


明らかに私をからかっている態度が悔しかったけど、何を言っても上手く返されてしまうだろうと思い、何も言わずにいた。


「あれ? 言い返さんの?」


私の顔を覗き込む航平。


「航平君と違って大人だからね」

「あそ」


普通なら航平が言い返してくるところなのに、少し大人ぶったのか、会話をそこで止めたのが可笑しくて笑った。


「……っ! 笑うな!」



一緒にいる時間が楽しくて仕方ない。


――航平もそう思ってる?




「……なぁ、美術室ってクーラーないの?」


航平からの唐突な質問だった。


「ないよ?」

「ふーん。いい心がけだな」

「は?」


クーラーないのがいい心がけ……?

なぜだろう? と眉を寄せた。



――その結論。


「窓が開いてるからだ!」

「ばっ、ちげーよ!」


急に赤くなり焦りだす航平。

自分で種まいたくせに。


「想像しただけで痛い痛い」

「何をう!?」




こんなきらきらした毎日がずっとずっと続けばいい。


続けてみせるよ。


コイツと2人。


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