+−CLASS ROOM×÷
俺らの視線の先には悠介。

木の影に隠れていたらしい。


……あれ?

校舎側からいつの間に!?



「今の話まじなのか夏海!?」

「盗み聞きなんて卑怯よ!」

「好きだー! 夏海ー!」


そう言って悠介は夏海を抱き締めた。



やれやれ。

任務終了って事で俺は歩きだした。



……え?


「及川!? 何やってんの?」

「く、草むしり!」


校舎の角を曲がると及川がいた。

最初に人影を確認した場所だ。


てことはさっき俺が見たのは及川か?

こいつも盗み聞きか?

でも何で?


「く、草むしりしてたら偶然見ちゃったんだけど明良君あれでいいの!?」


及川が不安げな顔で聞いてきた。

そっか、及川も誤解したままだった。


「昨日のは誤解だって! 俺は悠介の恋を応援しただけ!」


応援以上の気もするけどね……。


「そーなんだぁ! 友情だねぇ! 私感動ッ」


及川が急に笑顔になった。

一瞬ドキッとしてしまったり。


――――……


……え?


「え?」

「へへッ」


及川が恥ずかしそうに笑って走り去っていく。


俺にある言葉を残して……。




『私、友情を大事にする明良君も好きだな』


もしかして、次の恋物語の主人公は……俺?


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