+−CLASS ROOM×÷
「どしたの? 腹でも痛い!?」

「あ、いえ。大丈夫です」


そういいながら顔を上げると、他校の男子が立っていた。


それが翔だった。



「あ! さっき試合出てた子!」


翔は私を指差した。


あれだけシュート率悪かったら印象残るだろうな。

もうマイナスにしか考えられなかった。


「すごくいい動きする子だなぁって見てたんだ!」

「は!?」


翔が口にしたことは私の考えてたことと正反対すぎて驚いた。


「でも、シュート最悪だったじゃないですか」


でもすぐにお世辞だろうと思って、嫌味っぽくそう言ってやった。



「ん? ……あぁ、だから落ち込んでんの? まぁシュートはあれだったかもしれないけど……

バスケ好きってのがよく分かった!」


一瞬『何この人!?』と思った。



「確かに勝ち負けは大切だと思うよ? でも、バスケが好きって気持ちはもっと大事にしたいって俺は思ってるんだ!」


翔はそう言うとニカッて笑った。



バスケ部に入って

レギュラーになりたくて

朝練もしたし、家の近くの公園で練習もした。


とにかくバスケが好きだった。


でも試合に出させてもらうようになってから、勝つためだけに頑張ってきた。


『バスケが好きって気持ち』……

やっぱりバスケを辞めることなんてできない。


ここで辞めたら後悔する。



「あ、ありがとう……ございます!」

「俺なんか言ったっけ!?」


私がバスケを辞めずに済んだのは翔のお陰なんだ。




それから大会とかで顔を合わせるたび言葉を交わした。


いつの間にか、翔の存在は大きくなってて


高校に入って同じクラスになった時は嬉しかった。


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