+−CLASS ROOM×÷
* *


「翔って長峰さんと仲いいの!?」

「え!? 何で!?」

「前、授業中に手振ってたから……」


それに……その日の5限目、翔は、席にいなかった長峰さんを探しに行ったから。


長峰さんっていうのは同じクラスの女の子。

いつも1人でいて、人とはほとんど話さない。

授業は時々サボる。

それに髪は赤いしで恐かった。


だからあの現場を見た時びっくりした。


「やっぱり見てた奴いたんだなぁ」


そう言うと翔は頭を掻いた。


そして何かを考えてるような顔をした。


そして言った。


「じゃぁ、絵美子だから言うな?」


不覚にも、『絵美子だから』が少し嬉しかった。



「俺は仲いいつもりなんだけど、葵はどうかね?」


翔は少し笑った。


『葵』

長峰さんを呼び捨てにしていることに、少し胸が苦しくなった。


「実はたまに屋上で話すんだ。話してみると普通の奴なんだよ」


翔は優しい顔をしていた。


「あいつ教室じゃいつもあれじゃん? だから放っておけなくてね」


「そうなんだ……全然知らなかった……」


本当の長峰さんも


2人のつながりも。



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