恋人は隠れ既婚者【前編】
静かな真冬の夜…
ほろ酔い気味の頭の中が、歩く度に冷たい空気でツーンとする。
頬が痛くてマフラーに顎を沈めた。
誘われたことが嬉しくて、思わず一つ返事でメールを返した。
そして私は忘年会から抜け出して来てしまった。
少しだけでも会いたい。
熱くなる想いが抑えられなかった。
彼は私のことどう思っているのかな…
歩きながら、そんな気持ちに駆られる。
聞きたくても聞けない。
平然と《友達》って言われたらショックだもの。