恋人は隠れ既婚者【前編】


待ち合わせ場所に着くと、彼の姿が見えた。


ドキッ…


これが恋の魔法なの?


『おう!酔っ払い!』


私を見つけた彼が右手を挙げ、声をかけてくる。


「酔ってるのはそっちじゃん!」


私は恥ずかしさをごまかしながら、少し拗ねたように答えた。


ねえ?


あなたの存在を意識し始めてから《赤ジャージ》と呼べなくなっていることに気付いてる?


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