恋人は隠れ既婚者【前編】



再び車に乗り込むと旅館を目指した。


方向オンチの私は前もって、旅館の場所は電話で聞いておいたつもりだった。


しかし…


やっぱり知らない土地というのはスムーズに走れないものだ。


いや、私が運転しているわけじゃないけど。


『この辺りだよね〜?』


「そのはずなんだけど…
あっ!…あれじゃない?」


『あれか?』


「そうみたい!良かった!見つからなかったら聞いた意味ないよね〜?」


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