恋人は隠れ既婚者【前編】
『もしもし?どうした?』
彼の声がした。
ホッとする…
「…もしもし。…あ、あのね、私…妊娠したの」
ドクンッ…
『…………』
「…どうしよう…」
携帯をぎゅっと握りしめる。
『…それって…ホント?』
「こんなジョーク言えないよ」
『…だ、だよな』
電話越しに彼の動揺が伝わってくる。
病院で診察を受けてから、後日連絡をすることになり、幾つか言葉を交わして電話を切った。
彼と話せたことで、ひとまず安心できた。
今の状況を1番理解してくれる人だからこそ心強い。