恋人は隠れ既婚者【前編】
出会い〜浩樹〜
有線が流れるフロアに足を踏み入れると、店長の声が響いてくる。
ちょうどミーティングが始まったらしく、私は目立たないように近くのソファへ静かに腰を乗せた。
店長からの説明を聞きながら、徐々に緊張感が増していく。
やがて簡単なミーティングが終わり、開店まで少し時間があるようだ。
女の子達はソファに座って待機していた。
20分ほど経ってから、お店の入口あたりが賑やかになってきた。
次々と女の子達がボーイに呼ばれ、席を離れていく。
いつ自分が呼ばれるのか…
心臓が飛び出してしまうんじゃないかというくらいに、バクバクと音を立て始めていた。