恋人は隠れ既婚者【前編】
梅雨時期でも夏の新商品が入荷とあって、ジメジメした空気を感じさせないほど店内は賑やかだ。
私の仕事欲は益々高ぶっていく。
彼と会うのは、何故か今までと違って、以前は毎週会っていたのに10日に一度のペースになり、2、3ヶ月後には二週間に一度くらいになっていた。
あのGWの時のような甘い恋ではなく、お互いに仕事で疲れた心を癒し合っている。
会う回数が減ったからといって、決して彼を嫌いになったわけではなく、彼の仕事もまた大変なことになっていたのだ。