恋人は隠れ既婚者【前編】
暮れ近くになると、昼の仕事も夜の仕事も忙しくて、疲れがピークに達してきていた。
それでも仕事しなきゃ…
ただ、それだけ。
彼と過ごした時間が懐かしくも思え、自分にとって大切な時間だったんだと改めて思い知らされる。
癒される時間が欲しい。
何より彼に会いたい。
また一緒にいたい。
あの時は当たり前のように会っていた二人が、今では夢のようで…
寂しくて、寂しくて、彼を求めているのに、疲れた心の休まる場所は今の私にはない。
考える暇もなく仕事をしたというより、仕事をするしかなかった。
寂しさを…
疑いを…
打ち消す為に…