恋人は隠れ既婚者【前編】

気を取り直して、自分から男性に会話を振った。


「何歳なんですかぁ?」


『…36…あなたは?』


見た目、若く見えるんだ。


「29です。何処から来たんですか?」


『…西ヶ丘…何処?』


「近いですね〜!私は新町なんですよ」



そんな他愛ないありふれた会話しか思いつかなくて、何よりこの人の近寄りがたい雰囲気にのまれそうで…



すぐにでも席を離れたかった。


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