恋人は隠れ既婚者【前編】



落胆した私は力なく答えた。

また求人広告と睨めっこだよ。


私にとってこのお店は思い出深い場所。


たった半年間だけど、離婚して初めて働いた職場だ。



焦る気持ちと裏腹に寂しかったけれど、時は瞬く間に過ぎていった。


そして次の仕事が決まらないまま、お店は最後の時を迎えてしまう。





時間は止まってはくれないし、自分の歩幅に合わせてくれる程、温かくもない。



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