恋人は隠れ既婚者【前編】
照明が明るくなった閉店後の店内。
私は着替えをしようと更衣室に向かっていた。
その途中、あるテーブルの前を通ると、そこには店長とお客が一人。
まだ飲んでいる光景が視界に入った。
「お疲れ様でした。お先に!」
挨拶をして更衣室に入ろうとした。
『あ〜っ!俺、この人が良い!』
えっ!?何!?
通り過ぎたテーブルの方から、突然聞こえたその声と言葉に驚き振り返ると、私を指差しているお客がいる。