恋人は隠れ既婚者【前編】


「失礼します…」


お客に気付かれないよう小さな声で隅の席に座った。


背を向けていたお客の一人が私の顔を見て…


『こいつねぇ、電話番号教えないんだよ!』


はぁ!?


「えっ?何ですか?」


見覚えがない顔が悪戯に笑う。


『新町に住んでるんだろ?』


私の住んでる所、知ってる!!


ニヤつく表情を向けるその人を記憶の中から探し始めた。


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