恋人は隠れ既婚者【前編】
『な、なんだよ!それ禁句じゃん?』
こんなに赤面したさが兄を今まで見たことがなかったから、私は驚いた。
「禁句も何もないじゃない。
可愛い後輩に意地悪するからでしょ?
なんで意地悪するのよ」
私は頬から耳まで赤く染めたさが兄へ悪戯に笑う。
『赤いジャージ』と言われるのが、そんなに恥ずかしいの?
『よし!こうなったら飲み比べだ!』
どうやら私達はお互いに負けず嫌いのようだ。
「休みの時ならいくらでも相手するわよ?」
『言ったなぁ!こいつぅ〜』
彼の弱点を知った私は、何かにつけ『赤ジャージ』と言いつけた。
まさか本当に飲みに行くなんて考えは、頭になかった。
約束が果たされるのを待っていたことも知らずに…