恋人は隠れ既婚者【前編】
スカイブルー色の綺麗なカクテルグラスがテーブルに二つ置かれた。
『何に乾杯かなぁ?』
「ロデオに乾杯する?」
笑いながらグラスをカチンと鳴らした。
ロデオを見て笑う彼。
こんな顔をするんだぁ…
彼の一つ一つの表情が、私の瞳に映る。
切れ長の目。
少し茶色い髪。
ガッチリとした肩。
男の骨格をした手。
目の前に、あの『さが兄』がいる。
それはとても不自然なようでいて、だからこそ大きな存在感をひしひしと感じてしまった。