恋人は隠れ既婚者【前編】


その温かい空気を彼の言葉によって壊された。


『いつも思うんだけどさ、なんですぐムキになるの?』


「ムキになりやすい性格って言いたいの?別に本当に怒ってるわけじゃないから」


ついつい、いつもの調子。


『もっと大人の女に見えたけど、意外にも子供っぽいよな』


「えっ?私のこと?」


『今、ゆりさん意外に誰がいるの?』


「ちょっ、ちょっと待ってよ!
さが兄だって、意地悪を言う時なんか小学生の悪ガキみたいだよ?」


『ほら?ムキになるんだからなぁ』


あっ、ほんとだ。

やだ、私ってば!


< 89 / 205 >

この作品をシェア

pagetop