恋人は隠れ既婚者【前編】
その温かい空気を彼の言葉によって壊された。
『いつも思うんだけどさ、なんですぐムキになるの?』
「ムキになりやすい性格って言いたいの?別に本当に怒ってるわけじゃないから」
ついつい、いつもの調子。
『もっと大人の女に見えたけど、意外にも子供っぽいよな』
「えっ?私のこと?」
『今、ゆりさん意外に誰がいるの?』
「ちょっ、ちょっと待ってよ!
さが兄だって、意地悪を言う時なんか小学生の悪ガキみたいだよ?」
『ほら?ムキになるんだからなぁ』
あっ、ほんとだ。
やだ、私ってば!