恋人は隠れ既婚者【前編】
それは何の前ぶれもなく私の中で起きた。
これは事件?事故?
お酒のせいなの?
さっきまで意識していなかったのに!
どうしちゃったの?…私。
彼から視線が外せなくて
ドクドクする鼓動が苦しくて
身体が熱くなった。
照明のライトが彼を照らす。
なんとなく、私と彼の距離が縮まった気がした。
『さあ、行くか!』
彼の声で覚めた――…
もしかしたら思い過ごしなんじゃないか…って、何度も思っていた。