恋人は隠れ既婚者【前編】
「そんなの最初からわかってたことじゃん!!
離婚してることや子供がいること彼は知ってたよね?
酷いよ!!結婚したいって言ってたのは彼だよ?!」
私は息継ぎもせず一気に言い放った。
信じられない!
何なの?
始めからわかっていたじゃない!
今更それが理由って言われたって…!
私の怒りは止まらない。
その怒りを止めたのは幸恵だった。
『博美…もういいの。彼と話したら、もういいやって思って…グスッ』
幸恵が呟くような小さい声で言った。