キミをのせて

その時も今日みたいに不意に現れたんだ。


慧くんが私の前に。



『えっ!?』


ちょっと不機嫌だった私は声を掛けられても
少し態度が悪かった。



「あっ、ごめんね。
違うならいーんだけど体育館あっちだよ?」


『えっ…』



正直びっくりした。


まさかいきなり会った人に
そんなこと言われるなんて考えてもいなかったから。



「??」



驚いている私に慧くんはやっぱり笑顔。



「違ってた?」


『…いいえ、合ってます…』



自分がどうしようもなく恥ずかしい
と思った瞬間だった。



「顏真っ赤だよっ?
俺も行くから付いてきなっ」


カァーッ…

そんなこと言われて
自分で意識しちゃって顏はりんごみたいだった。

< 10 / 21 >

この作品をシェア

pagetop