キミをのせて
一章

春の訪れ


桜が青空をすがすがしく舞う
4月某日。

AM8:00



新しい制服に腕を通し、
鏡で念入りにチェックをいれる。



『よしっ、と。』


前日から下準備をしておいた荷物を手に取ってみる。

再び鏡に目をやるとそこに映るのは
はじめての自分。



『なんだか高校生っぽく見えないかも…』


鏡に映る自分に若干の不安と苦笑い。




「美優、まだなのっ?」


『今行くっ!』


一階から聞こえるお母さんの声に返事を返しながら
荷物を持ち、階段をバタバタと駆け降りた。





今日は私、
橘 美優─たちばな みゆうが

晴れて藤咲学園に入学する日である。


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