Swallowtail 〜夜の蝶〜
 今私が死んだら、彼は解放されるのだ。

 自宅で、ケチャップまみれになって死んだふりをする私に、驚愕させられる事もない。


 最近寝ているらしい女に、私にあてている精神科クリニックの鬼みたいな支払いや、私の消耗する莫大な金を彼女に注ぎ込める。


 気分が沈んで気が狂いそうになった時、同じように苦しんでほしくて今し方吸っていた煙草を腕に押しつけられる事もない。                あいつは、あたしが死んだらきっと、喜ぶだろう。
 この期におよんで誰かに悲しんでほしいなんて思わないけど…
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