Swallowtail 〜夜の蝶〜
 放り出した足元に闇が迫る。



 家を出る前に飲んだシャンパンが、胃の中で飽和している。


 なにも、32にもなって、土方からゼネコンの重役に血の滲む思いでのしあがった男が、23の鬱病相手にしなくてもいい苦心をする事もないだろう。

 最後くらい誰かに喜ばれて死ぬのも、悪くないかもしれない。
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