Swallowtail 〜夜の蝶〜
夏を知らせるような温い風が、二人の間を通過する。
「なんか、飛べる気がして。」
私は風の行方を目で追った。ビールに口をつけて、これはいつのビールだろうと少し不安になった。
「何それ、薬でもやってんのあんた。」
「やってないよ。それより、あんたとかお前とか呼ぶのやめてくれない?失礼だよ。」
「お前だって俺のこと、あなたとか言ってんじゃん。俺は本間良太だよ。で、お前は?」
そうゆう話ではない。
「・・・みかげ。」
「みかげね。ちゃんと名前さえ教えてくれれば、俺だって名前で呼ぶよ。」
男は缶ビールを傾けて、すごい勢いで飲んでいる。
もしかしたら、私よりもお酒が強いのかもしれない。私は今働いているアゲハというキャバクラで、どんな虚勢をはって乗り込んでくるハッタリの客にも酒の量で負けたことがない。
「てっきりみかげは、あのフェンスから飛び降りて死のうとしてるんだと思ったよ。俺、そうゆうのわかるんだ、死のうとしてるやつの醸す雰囲気とかで。」
私は言葉に詰まって、本当のことが言えずに押し黙った。
「なんか、飛べる気がして。」
私は風の行方を目で追った。ビールに口をつけて、これはいつのビールだろうと少し不安になった。
「何それ、薬でもやってんのあんた。」
「やってないよ。それより、あんたとかお前とか呼ぶのやめてくれない?失礼だよ。」
「お前だって俺のこと、あなたとか言ってんじゃん。俺は本間良太だよ。で、お前は?」
そうゆう話ではない。
「・・・みかげ。」
「みかげね。ちゃんと名前さえ教えてくれれば、俺だって名前で呼ぶよ。」
男は缶ビールを傾けて、すごい勢いで飲んでいる。
もしかしたら、私よりもお酒が強いのかもしれない。私は今働いているアゲハというキャバクラで、どんな虚勢をはって乗り込んでくるハッタリの客にも酒の量で負けたことがない。
「てっきりみかげは、あのフェンスから飛び降りて死のうとしてるんだと思ったよ。俺、そうゆうのわかるんだ、死のうとしてるやつの醸す雰囲気とかで。」
私は言葉に詰まって、本当のことが言えずに押し黙った。