出会い

海風の気持ち良い夏の日だった。

私は・・・自殺しようとしていた。

もうこんな世界はイヤだった。

なにもかも忘れて新しい未来へ―・・・

ガシッ!!いきなり腕をつかまれた。

半分崖から落ちている体は宙に浮いているような気がした。

上を向いた。同い年くらいの男の子が私の腕をつかんでいた。

『はなしてよっ!!私はもうこんなところイヤなのっ!!!!』

『バカッ!なに言ってやがんだ?!ちょっとまってろよ・・・』

そう言うとさすが男といわんばかりに私をヒョイッと引き上げてしまった。

――――――――――――・・・『オレは彼方(カナタ)。お前は?』

『・・・葵(アオイ)。神崎 葵・・・。』

『葵か。いい名前じゃん。お前なんでこんなことしようとしてたんだよ。』

『・・・もうこんなところに居たくなかったの。世界全部が敵で

生きることにすら疲れて。いっそ死んだほうがましだった・・・。』

『・・・ッお前正真正銘バカか?!死んだほうがましなんて

世界全部が敵なんてそんなの絶対絶対ねぇから・・・

だから、だから・・・【死んだほうがまし】なんてもう絶対言うなよ・・・?』

この瞬間に見た彼方の泣き顔が初めて私のために泣いてくれた人の顔だった・・・。
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