変態王子とメガネちゃん





『……王子くん。』




優樹菜が俺を見つめて
小声で俺を呼んだ




それだけなのに何故か
胸がドキドキして…




もしかして優樹菜は
安西を名前で呼ぶことを
よく思ってないんじゃ……




嫉妬か??




だとすると優樹菜は
俺が好きなのか?




す、好きなら仕方ねぇよな




的な妄想を張り巡らせ、
その頭の片隅では
どうやって名前で呼ぶことを
断るかを考えていた。




『高梨くん、もしかして
私のこと名前で呼ぶの嫌??』




安西は泣き真似みたいな
キモい顔(大地には可愛く
みえたらしく俺にうらやま
しそうな顔をしていた)
をしてじぃっと見ていた。




「いや、嫌なんじゃなくて
なんか安西さんの方が
しっくりくるんですよ。
ダメですかね?」




そうキラースマイルで
俺は言った。




これで落とせないやつは
いないと自信満々に




『…あ、そう。』




落とせないやつはいない
落とせないやつはいない
はずなのに…
安西はもう俺に興味の
ないかのように
大地と話している。




なんなんだこいつ…




『……王子くんっ。』




優樹菜が俺のズボンを
引っ張る。




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