残酷天使のララバイ~The last love songs~
 しかも。

 凶器は、特定できなかった。

 全員、命が危ぶまれるような外傷も、薬物の検出もなかったんだ。

 だから、僕の正式な罪は、死体遺棄及び損壊って事らしいけれど。

 ハイエナみたいなマスコミが、僕を希代の連続殺人犯に仕立て上げ。

 地球解放軍に関わっている茜も、その行方を消してしまった。

 そして、実際の罪としてはナイツになるほど重くないのにもかかわらず。

 いつの間にか盲目の巨人【エンゼル】と【サファイア】の名前を押しつけられていた。

 その、あまりに素早い、自分の立場の変化に。

 知らない誰かの悪意に、ハメられたんじゃないかと、総毛立った。

 だから、せめて。

 自分の本当の敵が知りたくて。

 不自由ななかでも、自分の出来ることで反撃に出た。

 だから、本当は。

 ハッカーで名の通った僕を恐れる刑務官も、完全に的外れって言うわけじゃない。

 何しろ。

 戦闘で、盲目の巨人が壊れるたびに。

 こっそりちょろまかした部品を使って、もう。

 小型のコンピューターと盗聴器は、組みあがっているぐらいだ。

 

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