残酷天使のララバイ~The last love songs~
「……何だ。
 思ったよりちゃちい作りだったんだ」

 音を拾うなんて。

 コアを乱暴に扱ったから、なんだろうけれど。

 エンゼルの本体がどこにあろうとも、僕はあまり興味無かったから、裏切られた……みたいな感覚はなかった。

 それよりも。

 コアと、僕のコンピューターから、同時に流れてくる音の方に興味があった。

 それは。

「……ルシィ?」

 そう。

 さっき別れた、若い刑務官と、エンゼルのコアを薙ぎ払っていた年かさの刑務官の声だった。

 磁気嵐でも来ているのか。

 コアの方からも、コンピュータの方からも。

 が……が……と時々ノイズが混じるものの。

 なんとか、二人がしゃべっていることが、判る。

『……り、ダメで…な。
 ……が、かかって、戻らない……です』

『ああ……だけでなく、meの顔さえも、判らないらし…な』

 ……だけども。

 さっき見た時とは、立場が逆そうで。

 何だか、若いルシィの方が偉そうな言い方をしている。

 ……しかも。

 盗聴器から聞こえる声は、同じなのに。

 コアから聞こえる声は、ルシィの方が大きい。

 それに、何より。

 このしゃべり方が……。

「……エンゼルに聞こえる」
  



< 105 / 132 >

この作品をシェア

pagetop