残酷天使のララバイ~The last love songs~
 そして、ルシィや、年かさの刑務官の姿は、見えるものの。

 僕は、個人的に呼び出して話ができる立場じゃなく……

 真実がどこにあるのか、判らなくなっていた。

 それで、仕方なく。

 僕は、言えるところまでは、話を聞いてもらおうと、クマを見た。

「……ねぇ、クマ。
 もし、僕たちが、盲目の巨人で戦う、この戦いがウソだとしたら、君はどうする……?」

 実は、ただのゲームに付き合わされているだけなんだ、と。

 そんな僕の疑問に、クマは、ガシガシと頭を掻いた。

「なんや。
 そんな情報、どこから見つけてきてん?」

「……昨日、外に出た時、偶然聞いたんだ。
 ……ウソかもしれないけど」

 ……実は、しかけていた盗聴器から。

 なんていうことは、クマにも秘密だ。

 だけども。

 そんな出所の判らない情報に、クマは、まじめに答えた。

「それは、せっかくイノチを賭けてやっていることやさかい。
 意味のある事がしたいな。
 けども、オレ。
 確かに悪いコトやってここに来てん。
 死刑、なんて言われたらもう、まったく先がないけど。
 ここなら……与えられた敵を倒せば、生きて家に帰る可能性は、あるんや」
 
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