残酷天使のララバイ~The last love songs~
 

 蒼い空。

 それを囲む、紅い炎。



 ……こんな景色を、前にも見たことがある。

 そして。

 消えゆく命に、語りかけられたんだったっけ。

『ねぇ……君。
 地球、好き……?』って。

 僕は、とても、とても、地球が好きだったから。

 地球の蒼い空が、大好きだったから。

 そいつに『うん』って答えたら。

 彼は、僕に。

 とても大切なモノをくれたんだっけ……

 ……。

 そんな、火の中でのまどろみを。

 甲高い悲鳴が切り裂いた。

「蒼……!!!!」

 ああ、これは。

 茜の声だ。

 僕の大好きな、愛しい、茜。

 わずかに、視線を横にずらせば。

 地球解放軍のスーツを着た茜が、僕に向かって走って来る所だった。

 ……ああ。

 茜は、元気で、良かった……

 そう、思いながら、もう一度眠ろうとした僕を茜は許さなかった。

「蒼!
 起きて! 立って!!
 このままだと、火に焼かれて死んじゃう……!」



 
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