残酷天使のララバイ~The last love songs~
 まるで、かさぶたを剥がすような。

 軽い痛みを伴うその作業に顔をしかめて、良く見れば。

 燃える皮膚のその下に。

 透明なクリスタルガラスのような、とんでもなくキレイな肌が見えた。

「……これは……一体……!」

 ココロの底から驚き、火のパニックが完全に収まって。

 目を丸くする僕に。

 燃えカスになった人間の皮膚を全部払い。

 僕をすっかり透明な肌にしたルシィが、片膝をついて頭を下げる。

「……特にお怪我もなく。
 ご無事で何よりでした。
 蒼翼王(そうよくおう)陛下」

 ……!

 蒼翼王……!

 その名前をルシファードの口から聞いた途端。

 僕の中で、何かがキレた。

 抑え込まれていたココロの蓋がとれたように、どっと、失われた記憶が戻ってくる。



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