残酷天使のララバイ~The last love songs~
「ああ……茜。
 僕は、なんとか大丈夫のようだよ」

 ……二つの別々な人格が襲って来るような。

 なんだか、ものすごい気分だけど。

 そんな風に言いながら、一歩前に出ると。

 茜は、反対に一歩下がった。

「……茜?」

 茜の様子が変だ。

 彼女は。

 今にも泣き出しそうな。

 そして、怒ったような顔をして、僕を睨んだ。

「……蒼じゃない」

「え?」

「あんたは、わたしの蒼じゃない!!
 わたしの大嫌いなエメラルドのヒトだわ!!」

「………!」

 茜の言うことに驚いて、僕は目を見開いた。

 そうだ……!

 僕は。

 僕は……!

 茜の大嫌いなエメラルド星の人間で。

 しかも。

 茜の大事な全てを奪った、張本人だったんだ。

「やめて!
 寄らないで!!
 蒼はどこ!!
 いつから、入れ替わったのよ!
 わたしの蒼を返して!!」

「……あの……事故の時から……」

 歯を食いしばるように言った僕の言葉に。

 茜の表情は、ますます険しくなった。

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