残酷天使のララバイ~The last love songs~
 

 僕に、怒りと。

 悲しみをぶつけて、泣きはらした茜が、半壊したスフィンクスを起動させた。

 ぼろぼろでも、なんとか、この幻想人形は、地球解放軍の基地までは、自力で飛んで帰れそうだった。

 僕を殴ろうとして、ルシファードに止められた茜が、叫ぶ。

「今度会ったときは、殺してやるから!」と。

 自分の命を縮めても、絶対に倒すから、と宣言した茜を止める術は僕にはなくて。

 僕自身も壊れそうなココロを抱えて。

 蒼く、雲ひとつない空の果てに消えてゆくスフィンクスを、ずっと見てた。

「……蒼翼王」

「……」

 うるさい、黙れ。

 そう、紡ぎたかった自分自身の言葉も、耳触りで。

 黙って睨む僕に、ルシファードは言葉をつづけた。

「……あなたの理想と、地球解放軍を名乗るあの連中の掲げている言葉は、実は同じです。
 今は、袖を分かつとも、いずれ判ってくれる時も来るでしょう」

「……お前。
 それは、僕を慰めているつもりなのか?」

 僕の言葉に、ルシファードは、さぁどうでしょう、と肩をすくめた。

 
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