残酷天使のララバイ~The last love songs~
 中身はあの生意気なはずの『エンゼル』のはずなのに。

 その言い方が、なんだか一生懸命で、僕は少しだけ、笑ってしまった。

 スフィンクスの消えた空を見上げて、僕は、聞く。

「では、ねぇ、エンゼル?
 機体は半分壊れたけれど僕達はまだ、空を飛べるかな?」

 僕の質問に、エンゼルが少しだけ笑う。

「飛べますよ。
 私が、機能停止しない限り、外側の巨人なんて、何度でもなおせます」

「だったら僕には、どうしても、見たい夢の景色があるんだ。
 お前はそこまで、僕を連れて行ってくれるかな?」

「あなたは、どんな景色がお望みですか?」

「青い地球が、他の星に侵略されて、その色を損なわないように。
 美しいまま、保っている未来の景色が、見たい」

 それは、茜の。

 そして、僕に名前をくれた蒼・キサラギの望む空だと思うから。

 彼の魂が、ゆっくり眠れるためにも、僕は、祈りたかった。

 本当にそんな日が来るのかは、判らない。

 だけども、僕は、エンゼルに抱かれて夢を見る。

 地球人が自力で立って、歩けるその日まで。

< 129 / 132 >

この作品をシェア

pagetop