残酷天使のララバイ~The last love songs~
 ぷう、と膨らんだ茜の頬をつついて、僕は軽く笑う。

「……とりあえず、行くことは、行ったろ?」

「行っても教室に入っただけで。
 朝のホーム・ルームには消えちゃえば、行ってないのと同じよ?
 知ってるゥ?
 ムカシはともかく、今はハイ・スクールだって義務教育なのよ?
 あんまり、サボっていると。
 ブラックリストに乗って、将来良い職業につけないって先生が。
 ……誰もなり手のない、軍人さんにさせられちゃうわよォ?」

「そりゃないさ。
 僕らは、一生、積極的に働かなくても、いいはずだし。
 例え、働くにしても。
 優秀な人材は、軍隊には、入らないって。
 僕は、サボってたって、この前のテストは全国一位だよ?
 しかも、筆記試験は、全部満点だったし」

「……英会話の発音だけは、赤点寸前だったけどねェ?」

「いいんだよ。
 欠点は一つぐらいあった方が、人間らしいじゃないか」

 今度は、僕の方が頬を膨らませてみせた。

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