残酷天使のララバイ~The last love songs~
 長い、茶色のウェーブのかかった髪。

 去年、僕と一緒に。

 美容整形へ行っておそろいにしたんだっていう、青い瞳。

 こっちは、自前で。

 手術も注射もしなくても十分キレイな目鼻立ちの、茜・サトー。

 幼なじみで。

『事故』が起きる前まで、僕たちは。

 みんながうらやむほど、家族ぐるみでラブラブに付き合ってたらしいのに。

 彼女のことさえ、僕は、思い出すことが出来なかった。




 ……しかも。



「……っ」

 突然、襲って来る痛みに、僕は頭を抱え込んだ。

 ……昔を……

 過去を思いだそうとすると、コレが……くる。

「だ、大丈夫!?」

「……ダメかも……」

 ついには、吐き気までくるほどの頭痛に。

 僕は、心配そうな茜の手を振り払って、公衆トイレに駆け込んだ。

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