残酷天使のララバイ~The last love songs~
「……いや」


 食べたいのは、スープや、粥ではなく。


 茜だった。


 このまま押し倒して、シテしまいそうなほど茜自身が欲しかった。


 だけども。


 このまま。


 茜を本当に愛しているのかもわからないまま。


 欲望に身を任せたら、茜のココロを傷つけることも……わかってた。


 たぶん。

 茜は。

 両親のいない今となっては、僕のことを、本当に気遣ってくれる唯一のひとだった。


 茜の、友達との買い物の約束は。


 僕に残ったわずかな理性を呼び覚ました。


 急いて、茜を傷つけてしまってはいけないっていう啓示かもしれないと思うことにした。


 ……半ば、無理やり。

< 46 / 132 >

この作品をシェア

pagetop