残酷天使のララバイ~The last love songs~
「な……なんなんだ……?」

 びっくりして、蛇男の連れを良く見れば。

 四、五人で歩いている、その集団の男達の顔は、皆。

 ヒトの。

 人間の顔をしているヤツなんて、一人も居なかった。

 帽子から白いセミロングほどの毛がはみ出しているヤツの顔は、ライオンだった。

 毛は、髪でなく、獅子のたてがみだったんだ。

 これは、まだいい方で。

 ぬめぬめと緑色にひかるカエルのような両生類の肌を持つやつや。

 羽毛に覆われ、口が鳥のクチバシになっているのもいる。

 どれもこれも、美しさのかけらもなかった。

 それどころか。

 気味が悪く、生理的に受けつけない。

 デッサンのおかしい、ホラー専門の漫画家の書いたイラストみたいだ。

 しかも。

 アタマの形は爬虫類だったり哺乳類だったり、バラバラなのに。

 魔が魔がしい雰囲気が、彼らがどれも同じ種類の生き物だと、教えている。

 驚いて、息を呑む僕に。

 茜は、もう一度僕に抱きついた。

 そして、怖いものを見るように身を振るわせ……ささやく。





「宇宙人。
 それも。
 ……エメラルドの人達だわ」
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