残酷天使のララバイ~The last love songs~
 初めて見れば、ぎょっとするその姿も、実は。

 宇宙全体から見れば、一番多い種類の知的生命体だっていう話を聞いたことがある。

 単純計算、フツーの生物より二倍ある頭脳と。

 背中に出来る簡易住居で、どんな劣悪な環境にも耐えられるからだ。

 ……種族名は、確か……

「蝸牛(かぎゅう)星人」

僕は思わずつぶやいた。

 すると、二つの頭に、それぞれついている口が、まるで、笑っているように開いたかと思うと。

 流れるようなニホン語で、言葉を紡いだ。

「『でんでんちゃん』って呼んで?」

「……は?」

 今の声。

 目の前の蝸牛星人から出ているんだよ……な?

 思いがけない。

 僕のクラスメートの女の子が話しているような、きゃぴきゃぴ声に。

 僕の眼は思わず点になる。

「でんでんちゃんって、あんたを?」

「「そうよ♪」」

 驚いている僕に。

 その『でんでんちゃん』は、二つの頭を交互にうんうん、と振った。

「かたつむりを『蝸牛』なんて呼ぶなんて。
 何百年前の風習よ!
 同じ古い言葉を使うなら、ここは。
 らぶりー・ちゃーみーに『でんでんちゃん』って呼ぶべきよね!?」
 
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