残酷天使のララバイ~The last love songs~
「現在、完全にロールアウトしている機体はこの二体。
蝸牛型バトル・パートナー
『幻想人形(ファントム・ドール)』の
『スフィンクス』と『ケンタウロス』だ」

 アリス・らぴの差し示したバトル・パートナーは、機体名にちなんだフォルムをしている。

 神話に出てくる姿そのままの幻想人形たちは。

 ……巨(おお)きい。

 17階建てのビルほどもある金属製の彫像みたいだ。

 ……これが動くのか……!

 初めて間近に見るバトル・パートナーの大きさに驚いた。

 エメラルド製のやつと違って二足歩行では安定性が悪く、四足になっていたり。

 機器類の小型軽量化がうまくいかず、蝸牛製の幻想人形は輪をかけて大きく。

 かえって威風堂々と見えた。


「他に、ここと同じ規模の隣の格納庫で、あと二機ほどスタンバイしている」

「もう一つこんな格納庫が、あるんだって!?」

「そうだよ?
 ……驚いたかい?」

 ラビの言葉に、僕は半ば呆然とうなづいた。

「今まで、地球解放軍なんていう組織は。
 ネットでは、裏情報にも入っていなかったし。
 あんたの口ぶりからして。
 ……こんな大規模なもんだとは、思わなかったんだ」

 僕の素直な言葉に、アリス・ラビは。

 それぞれの口で、ふふふっと笑った。
 

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