残酷天使のララバイ~The last love songs~
茜を抱えるように抱き起こして。
顔を上げると。
茜の後ろから数人の男女が来たのが見えた。
年のころは、僕らと変わらず、茜と同じようなつなぎを着ている。
彼らは、立ち上がった僕と目が合ったとたん。
こちらに向かって、駆けて来た。
そして。
あっという間に僕らを取り囲んで、口々に言った。
「キミが、蒼・キサラギ君?
ウワサは、聞いてるよ!」
「『あの』翼君なんだって?
ニュー・ペンタゴンに一番ノリして、最高機密の書類の端に、羽毛のCGを置いて帰ったっていう?」
「あっ!
それ、俺もライブで見てました!
すごいですよね!
他のハッカーと、トラップを出し抜いてカッコ良かったです!」
「オレのハンドル・ネーム『ジャック』っていうんです!
ペンタゴンの第三隔壁までは『翼』さんの真後ろに、つけてたんですけど、途中で、引き離されてしまって!
気がついていましたか!?」
「……うん。
見えてたよ」
茶髪で、つんつん頭のそいつにうなづくと。
彼は、躍り上がって喜んだ。
「直接、翼さんにお会い出来て、光栄です!
しかも、仲間になってくれるなんて!!」