残酷天使のララバイ~The last love songs~
「正確に言えば、ハッキングじゃないだろ?
 ……ちゃんと製造元に、お伺いを立ててるし。
 何よりも、いずれ自分の乗る、機体だし」

 僕は『スフィンクス』を眺めた。

 砂漠の真ん中で、昔は、王の墓と呼ばれていピラミッドを守るべく座る、人面の獅子を模した機体だ。

 これを本当の意味で乗りこなすことができるのか。

 それとも。

 これ自体が僕の墓になるのかは、僕自身の腕にかかっている。




 少なくとも、そういうところまでには、持っていきたかった。




 例え、それが。




 無駄なあがきだとしても。




 いくら、使い慣れた、PCでも。

 うまくラインが繋がったとしても。

 通常の操縦の他に、どれだけキーを叩く余裕があるかなんて、判らない。




 けれども。



 何もやってみないうちからあきらめるようなマネだけは、したくは無かった。


 僕の言葉に、らぴは、すぃ、と目を細めた。

「じゃあ、やってみたら?
 ただし。
 スフィンクスを壊さないこと。
 外見も、中のシステムも。
 ……守れる?」

「……ああ」

 それは、大丈夫だ。

 ……多分、ね。
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