残酷天使のララバイ~The last love songs~
僕は、コックピットに座ると。
自分のシステムをスフィンクスにつなげて、パキパキと指を鳴らした。
興味深々な視線をいくつも肩越しに受けて。
「……そんなコンピューターで、スフィンクスが動くの?
女の子じゃあるまいし。
皮膚にちょっと傷つけて、チップを埋め込んだほうが、安全、確実なのに」
……そんなこと、わかってる。
茜のささやき声に僕は。
ココロの中で応えて、ため息をついた。
……それが、本当に「安全」なら。
僕だって、こんな面倒なことはしないさ。
僕は、別に。
特別長生きしたいとは思ってなかったけれど。
スフィンクスに乗ってすぐ。
僕がぽてっと死んでしまったら。
残った茜はどうなるんだろう?
……僕は、簡単に死ぬわけには行かないんだ。
少なくとも。
茜に、新しい家族が見つかるまでは。
僕は、頭を一つ振ると、周りを取り囲んでいた人々に笑って見せた。
「……ちょっと動かしてみる。
みんな。
危ないから、どいてくれるかな?」