残酷天使のララバイ~The last love songs~
 


 うあああああっ!!!


 自分でも驚く、魂消えるような叫びがいつの間にか僕の口からほとばしっていた。

「蒼! 蒼!
 落ち着いて!」

「火は大したことないよ!
 脱出が無理なら、すぐ自動消火装置が……!!」


 ああああああっ!!!!


 仲間たちの声が、聞こえない!

 自分の叫び声で聞こえない!!


 怖いのは。

 恐ろしいのは。

 炎、ばかりではなかった。


 思い出してはいけない何か。

 目の前の炎と一緒に

 絶対に思い出してはいけない何かを思い出しそうで。

 それが怖かったんだ。

 緊急脱出装置のボタンを押して、外に出ること。

 たったそれさえもできず。

 胎児のようにまるまったまま、叫び続ける僕に。

 消火剤の白い泡がぶちまけられた。

 あっという間に、白一色に染まっていく視界の中で。

 僕は。

 僕の……だったら、こんなことは起こらなかったのに、と。

 めちゃくちゃに思っていた。

 肝心な「……」の部分は、判らないままで。

 僕は、声が枯れるまで、ずっと叫び続けていた。
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